眼の機能改善

ニュージーランドカシスと眼の機能改善

人間の目はいつも日光や人工の光にさらされています。紫外線や様々な可視光線は活性酸素の素となり、眼の組織への酸化ダメージを引き起こします。長期的にこうした光にさらされ続けることで、酸化ストレスによる眼の病気を誘発してしまうケースも少なくありません。涙液(るいえき)層から網膜まで、あらゆる眼の組織はこうした酸化ストレスに日々抵抗しているのです。特に眼の表面と角膜は、他の眼の組織を守るため、酸化ストレスを引き起こす多くの外的要因と闘っています。

酸化ダメージへの抵抗が続く中で、角膜ジストロフィーなどの病気が発症してしまうこともあります。また眼の水晶体は加齢による酸化ダメージに弱く、長期的な酸化ストレスが白内障の原因になることも。さらに眼の中を循環する液体「房水(ぼうすい)」の流出経路である線維柱帯は特にミトコンドリアによる酸化ダメージに弱く、酸化ストレスが最終的には緑内障の遠因となることも。このように、内外の要因による活性酸素のダメージは、眼の病気と深い関係があるのです。

カシス・アントシアニンが持つ目の健康への効能

  1. カシスが持つ、疲れ目やパソコン作業による視力低下に対する効果によって、健康な人の眼の屈折率が一時的に改善。*1
    これは無作為化二重盲検による慎重な試験研究の結果です。試験は21人の健康な大人を対象に行われ、被験者は50mgのアントシアニンをジュースとして摂取しました。
    試験では、カシス摂取による疲れ目や腰痛の顕著な改善も確認されました。これらの効果は、アントシアニンによって末梢血管の血流が改善された影響だと見られています。
  2. ロドプシン再生を促すシアニジン 3-グルコシドの促進効果 *2
    この研究では、カシスに含まれる4種のアントシアニンが持つロドプシン再生への効果が調べられました。その結果、これらのアントシアニンのうち3種が、網膜のロドプシンの再生を促進することが確認されています。
  3. デルフィニジン 3-ルチノシドによる毛様体筋の緊張緩和 *3
    この研究は、近視にも関係がある毛様体筋の緊張緩和とデルフィニジン 3-ルチノシドの関係性を調査するために行われました。その結果、デルフィニジン 3-ルチノシドが毛様体筋の緊張緩和や収縮抑制に影響することが確認されました。この研究結果は、アントシアニンが近視改善に効果があるかもしれないことを示唆しています。
  4. 精製した高用量アントシアノシドオリゴマーが夜間視力と近視の症状を改善 *4
    この研究は、眼精疲労と近視の症状を持つ60人の被験者を対象に実施。30人は1日2回、4週間にわたって精製した高用量アントシアノシドオリゴマーを処方され、残り30人は偽薬を処方されました。その結果、アントシアノシドオリゴマーを処方された被験者のうち22人(77.3%)に症状の改善が見られました。
  5. カシス・アントシアニンの眼の組織への到達について調べる相対評価研究 *5
    この研究では、ラットとウサギを対象に、カシス・アントシアニンの経口投与・静脈注射・腹膜内投与による眼への影響について比較評価を実施。その結果、カシス・アントシアニンは損傷を受けない完全な状態のまま眼の組織に到達し吸収されることが判明しました。
  6. アントシアニンが持つ糖尿病と眼の機能への影響 *6
    これはこれまでに実施されたアントシアニンに関する研究や臨床試験のデータについてまとめた論文です。アントシアニンが持つ糖尿病に対する効能や眼の機能改善効果について、様々な観点から総括されています。
  7. 負レンズをつけたヒヨコを対象にした眼組織の成長研究 *7
    この研究は、負レンズをつけたヒヨコにカシスの抽出物を投与することによる眼の組織の拡大への影響について調べるため実施されました。その結果、3日間カシスの抽出物を投与されたヒヨコ(生後8日かつ右目に負レンズを装着)には、硝子体腔深度や眼軸長(眼球の長さ)の抑制効果が明確に確認されました。
  1. ニュージーランドカシスの緑内障への効果
    4つの臨床試験が、ニュージーランドカシスが持つ緑内障への好影響を実証しています。

    1. この研究は、カシス・アントシアニンが持つ網膜血流への影響を探るため、正常眼圧緑内障の患者を被験者として行われました *8
      被験者は6ヶ月間、50mgのアントシアニン錠剤を毎日服用。その結果、網膜と視神経の血流に大幅な改善が見られました。これは経口投与したアントシアニンが、正常眼圧緑内障の患者にとって効果的な神経保護療法になり得ることを示しています。
    2. この研究は、緑内障の視野とカシス・アントシアニンの関係を調べるため2年にわたって実施された、無作為化プラセボ対照試験です *9。38人の開放隅角緑内障患者を対象に行われ、被験者は2年間、毎日50mgのアントシアニン(または偽薬)を摂取しました。その結果、偽薬を服用したグループは2年間で大幅な視野平均偏差の悪化が見られましたが、アントシアニンを服用したグループではそのような変化は認められませんでした。さらにアントシアニンを服用したグループでは、眼の血管の明確な血流改善が確認されています。
    3. この研究では、健康な被験者と緑内障の被験者を対象に、カシス・アントシアニンと眼圧の関係について調べられました *10。眼圧の上昇は、緑内障の大きな要因になると考えられています。試験は、12人の健康な被験者と21人の緑内障患者にカシス・アントシアニン(あるいは偽薬)を4週間にわたって経口投与することによって実施。その結果、健康な被験者、緑内障の被験者ともに、カシス・アントシアニンを摂取したグループには大幅な平均眼圧低下が見られました。
    4. この研究では、カシス・アントシアニンと、緑内障患者に見られるエンドセリン -1の異常な血清濃度との関係について調べられました *11。その結果、アントシアニンによってエンドセリン -1の異常値が正常化されることが確認されました。これはカシス・アントシアニンが眼の血管の血流調整機能を改善する可能性があることを示しています。

参考文献

*1: Nakaishi, H., Matsumoto, H., Tominaga,S., Hirayama, M. Effects of blackcurrant anthocyanoside intake on dark adaptation and VDT work induced transient refractive alteration in healthy humans. ALTERNATIVE MEDICINE REVIEW 2000, 5: 553-562

*2: Matsumoto H, Nakamura Y, Tachibanaki S, Kawamura S, Hirayama M. Stimulatory effect of cyanidin 3-glycosides on the regeneration of rhodopsin.J Agric Food Chem. 2003; 51(12):3560–3563.

*3: Matsumoto, H (2005). Delphinidin-3-rutinoside relaxes the bovine ciliary smooth muscle through activation of ETB receptor and NO/cGMP pathway.  Experimental Eye Research. 80:313-322.

*4: Lee, J. Purified high-dose anthocyanoside oligomer administration improves nocturnal vision and clinical symptoms in myopia subjects, British Journal of Nutrition (2005), 93, 895–899.

*5: Matsumoto. H (2006).  Comparative assessment of distribution of blackcurrant anthocyanins in rabbit and rat ocular tissues.  Experimental Eye Research. 83: 348-356.

*6: Ghosh D, Konishi T (2007).  Anthocyanins and Anthocyanin-Rich Extracts: Role in Diabetes and Eye Function, Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition 16:200 – 208.

*7: Lida H (2010). Effect of blackcurrant extract on negative lens-induced ocular growth in chicks, 2010, 44(4): 242-250.

*8: Ikuyo Ohguroll, Hiroshi Ohgurol, Mitsuru Nakazawa. Effects of anthocyanins in black currant on retinal blood flow circulation of atients with normal tension glaucoma, a pilot study. Hirosaki Medical ]ournal, 2007, 59: 23-32.

*9: Hiroshi Ohguru, Ikuyo Ohguro, Maki Katai, Sachie Tanaka , Two-year Randomized, Placebo Controlled Study of Blackcurrant Anthocyanins on Visual Field in Glaucoma. Ophthalmologica 2012, 228:26-35.

*10: Hiroshi Ohguru, Ikuyo Ohguro, Saeko Yagi. Effects of Blackcurrant Anthocyanins on Intraocular Pressure in Healthy Volunteers and Patients with Glaucoma. Journal of Ocular Pharmacology and Therapeutics 2013, Vol 29 No.1:61-67.

*11: Kaori Yoshida, Ikuyo Ohguro, Hiroshi Ohguru, Blackcurrant Anthocyanins Normalized Abnormal Levels of Serum Concentrations of Endothelin – 1 in Patients with Glaucoma. Journal of Ocular Pharmacology and Therapeutics 2013, Vol 29, No. 5:480-487